計算づけのヒロインが愛した正義のヒーロー

抱きしめた時の柔らかい匂いが

安らいだりする…

なんて男子には言えない。


「誠人くんは私の王子様だもん」


そして彼女は少しメルヘンチックな女の子だ。


長い睫の瞼が閉じて、

君はキスを待つようで、

俺に夢中でいてくれるのだと思わせてくれた。


つい彼女のキスを待つ顔に見惚れていて、

耳元でカメラのシャッター音が聞こえたんだ。


「何…」



後ろにはたくさんの女子が集い、

とっさに愛奏を抱きしめたら、

ヒステリックに彼女たちが笑って睨む。


「佐川くん、この写真校内中に回してもいいかな」


「…やめろ…」

< 36 / 82 >

この作品をシェア

pagetop