計算づけのヒロインが愛した正義のヒーロー

―――



「ええっ!?

やっぱり愛奏は誠人くんと付き合ってるの?」


「…どこまでしたの…」


「えっ、…えっと……」



「その反応だとヤったね」


大学の食堂で話す内容じゃないし、

下ネタはあまり好きじゃないかな。


「…私と結婚してくれるんだよ…」


その約束をしたから初めてを渡したんだけど、


「そんなの嘘に決まってるじゃん…。

相手は同い年の二十歳にもなってない、

男だよ…」


「梓、

ただの嫌味にしか聞こえないんだけど…。

でもね、私たちは本当に心配なんだよ…」


高校当時は本当に誠人くんが好きだったし、

今も大好きだよ、…けど…、


「…あー、梓のせいで泣かしたー」

「えっごめん!ごめんって…」


掴んだ幸せを

逃したりなんかしないんだからって言えるなら。
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