婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。
(うーん、写真って難しいなぁ。
まぁ、まだあの様子だとまだ楽しくお喋りしているだけみたいだしまだいいかな。
そこから敬太様が押し倒すなりキスするなりするなら、確たる証拠としてバッチリ激写したいところだけど……)
そんな風にあれこれ考えながらスマホと格闘する事数分。
ふと名案を思い付いた私は、バッと顔を挙げた私は、明るい顔でポンと手を打った。
「そうですわっ、この写真が上手に撮れたらお父様にも見せませんと!
『天シン』よりもかなり早いですけれど、きっと婚約は破棄できるに違いありません!
二人のためにも、邪魔者は早々に消えるに限りますわよね!」
私はいっそう気合を入れると、再びスマホを構えて二人のいる窓の方へ向き直った。