婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。
「……ちょっと、どうすんのよコレ」
その日の放課後。
真凛のクラスに集まった私、真凛、西山君の3人は、夕闇の差し込む教室で揃って頭を抱えていた。
「なんでだ……?俺、そんなに嫌われてる……?」
「おっかしいなぁ、絶対大丈夫だと思ったのに……。なんで上手くいかなかったんだろう……」
「あーはいはい。失敗を悔やむのは後にして、とりあえず今は今後どうするか考えよう?ほら真凛、眉間にシワ寄せないの。西山君も普段の言葉遣い崩れてるよー」
暗い雰囲気で肩を落とす二人を宥めすかし、私は強引に話し合いをはじめた。
そうして、判明した衝撃の事実は――
「えぇっ!?西山君、星華ちゃんにちゃんと告白してないの!?」
「告白してないっていうか……そもそも婚約が先だったというか……」
「あー……そこは盲点だったわ」
私はそう呟くと、溜息をつきながらガリガリと頭を搔いた。