婚約者から逃げ切るだけの簡単なお仕事です。




「ん?誰よこんな時に……」


思わずブツクサと呟きながらケータイの画面を見れば、そこにはなんと『西園寺星華』の文字が。
慌ててメールを読めば、そこには噂話について教えてくれた事へのお礼と、いつどこでならその現場を目撃できるかを教えてほしい……という事がかなり遠回しに書かれていた。



(あれ?さっき言われた時はすごい喜びようだった上に西山君には全く興味の無い感じだったのに、なんで今更わざわざこんな事聞くんだろう?)



なんだか違和感を感じた私はそのメールに思わず首を傾げ――そして次の瞬間、思い至った可能性にサッと顔を青ざめさせた。



(ちょっと待って、これってすごくマズいんじゃないの……!?)



私はその文面を見つめながら、思わずゴクリと喉を鳴らす。
私の考えた事、それは――『星華ちゃんが、西山君との婚約解消を目論んでいる』という可能性だった。






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