続・赤い流れ星
物事にはやっぱり勢いっていうのも大切で…
考えることと行動することは見事に反比例してると思う。
考えれば考える程、人は動けなくなる。
特に重大な決断をする時はそうかもしれない。
そんな時は誰しも失敗したくないと思うから、深く考えることによって、本来の目的とは違う一番安全と思えるようなことを思いついてしまうのかもしれない。
でも、安全だったり確実だったりすることが必ずしも良い結果とは限らない。
後先考えずに、自分の気持ち最優先で動いた方が、本来の目的を遂げられる場合がけっこうあるんじゃないかって私は思う。



だからこそ、私はここに来ることが出来た。
後悔は…全然していないといえば嘘になるけど、間違ってたとは思わない。
私はあの時、自分の感情を最優先した。
シュウのことが大好きで…絶対に離れたくないっていう自分の感情を。
だから、シュウと一緒にいられるという目的は遂げることが出来た。
でも、何にでもリスクはある。
だから、辛い目にあうのも当然。
自分で選んだ道なんだから、その責任を負うのは当たり前のことなんだ…
……と、そんな風にを思えるようになったのは実は最近のことなんだけど…



兄さんは、私とシュウがどこにいるかをきっとわかってくれてると思う。
だけど、やっぱり私がいなくなったことで、皆に迷惑や心配をかけたのは間違いないんだし、戻ることは無理としてもなんとか連絡を取る方法はないものかと……そのことでおじいさんによく相談をした。
でも、それは不可能だと言われるだけで、とても賢いはずのおじいさんにもどうにもならないことみたいだった。
だけど、はい、そうですかと諦めるわけにはいかない。
賢い人よりもそうではない人の方が,意外と思い掛けない抜け道的なアイディアを思いつく事だってあるんだから。



「あのね…おじいさん。
あの門は異世界に通じてるんだよね。
それは,私が設定したことなんだから、今もそのはずよね?
でも、門を起動させないことにはどうにもならない。
だけど、そうするには大きな力がいる。」

「いかにも…」

「人を運ぶにそりゃあ大きな力がいるだろうけど、たとえば手紙だったらどうかな?
そんなに大きな力がなくてもなんとかなるんじゃない?」

私は昨夜思いついたことをおじいさんにぶつけてみた。
手紙だけでも送れれば…
たとえそれが私からの一方通行な手紙でも、それを見たら家族はきっと安心してくれるだろうから。
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