続・赤い流れ星




「お帰り。」

「ただいま。」



出迎えてくれたシュウの顔は、全くいつもと変わりなかった。
いつもと同じ優しい笑顔…
なのに、私がいないうちにシュウはここあちゃんとここで愛し合って、私は雅樹君と…



(どうして…?)



どうしてこんなことになっちゃったんだろ…
何が最初の原因だったんだろう…
私はシュウのことが大好きで、シュウも私のことを好きなはずなのに、どうして…



「ひかり…どうかしたのか?」

「え…?どうもしてないよ。
なんで?」

「いや、なんでもない…」



私達の会話はおかしな具合にぎくしゃくしてた。
だけど、お互い、何もないふりをしてる。







「ひかり…明日もでかけるんだろ?」

夕食の時に、シュウが突然そんな質問をして来た。



「え…明日は家にいようかと思ってたんだけど…」

「そっか。
俺、明日はちょっとでかけて来るな。
友達とちょっと会うだけだからすぐに戻って来るけど。」

「そ、そう…」

私が家にいるから、明日、シュウはここあちゃんと外で会うんだ。
いやな気分にはなったけど、家に連れてこられるよりはまだ良い。



「それと、あさっては家にいてほしいんだ。
ちょっと買い物につきあってほしくって。」

「買い物?」

「う…ん、まぁ、そんなたいしたもんじゃないんだけど、ほら、最近、ひかりと一緒に出掛けてないし…」

「う、うん、わかった。」

それってもしかしてカモフラージュ?
俺は全然変わらないよってことを強調したいんだろうか?
男の人は浮気をしたら、妙に優しくなるとか奥さんにプレゼントをするとかって聞くけど、まさかシュウも私にプレゼントをするつもり?



何もかも勘ぐってしまうのがいやだった。
シュウのこと、疑いたくないのに…
疑うも何も私はもう何もかも知ってるのに…



その晩、私は頭が痛いからと言って早めにいつものひきこもり部屋にひきこもり、そこで眠った。
とてもじゃないけど、ここあちゃんとシュウが使ったベッドでなんて眠れない。
それとも、客間を使ったんだろうか?
いや、寝室のベッドはダブルだからそっちを使うはず。
頭の中に、絡み合ってるシュウとここあちゃんの姿が思い浮かんで、私は泣きそうな気持ちになった。



(やだ……シュウの馬鹿…)



私があの時、ここあちゃんの店に行ったりなんかしなければ良かったのか…
今更そんなことを考えてもどうにもならないのに、私はそんなとりとめのないことを考えて、朝までなかなか寝付けなかった。
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