続・赤い流れ星
「ひかり…忘れたのか?酷いなぁ…
俺達が初めて会ってから、五周年の記念だぜ!」

はっきりとした時間の流れのないこの世界でわかることではないけれど、理由なんてどうだって良い。
これは、ひかりを元気付けるためのパーティなんだから。



「そ、そうだったの…
……だから、こんなことを…」

ひかりは、今日のおしゃれの意味もやっと理解し、興奮したように声を震わせた。



「シュウ、ひかりさんにプレゼントがあるんでしょ!」

「あ、そうだった。」

ここあちゃんに言われ、俺はポケットから指輪の入った小箱を取り出した。



「ひかり…これ。」

「これって…何?」



俺は箱を開け、ひかりの手を取ってハート型のあのリングを薬指にさした。
タカ達のひやかしの口笛や拍手がその場の雰囲気を盛り上げる。
ひかりは思い掛けないプレゼントに感動してくれたのか、目を潤ませ、俺に微笑んでくれた。



「ひかり、シュウ、五周年おめでとう。
これからも仲良くするんじゃぞ。
……それにしても、ひかり…今日はえらくべっぴんさんじゃのう。」

「や、やだ、おじいちゃん…からかわないで。」

「なにもからかってなんかないぞ。
いつもとは別人みたいに可愛いぞ。」

「それじゃあ、普段のひかりが可愛くないみたいじゃないか!」

俺と賢者のやりとりに、ひかりは目を細めた。



「あ!来たぞ!」

賢者の視線の先にあったものは、ワゴンにのせられたハート型のケーキだった。




「シュウさん、ひかりさん、五周年おめでとうございます。」

ワゴンを押して来たのは、スーツを着こんだ隼人君。
いつもの白衣とは全然雰囲気が違い、一瞬わからなかった。
隼人君はいつも店の奥にいて、ちょっと離れた所から挨拶を交わした程度だったけど、間近で見るとかなり格好良い青年だ。
これじゃあ、ここあちゃんが惚れるのも無理はない。



「あ、ありがとうございます。」

ひかりの奴…顔を真っ赤にして、隼人君の顔をみつめてる。
まさか隼人君に惚れたんじゃないだろうな…
俺がそんなジェラシーを感じてしまうほど、隼人君は格好良かったんだ。
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