続・赤い流れ星




それは決して良いとは言えない体験だった。
泣きじゃくるひかりを目の前にして、俺は後悔していた。
やはりこんな時にするべきではなかった。
ひかりのことが可哀想で仕方なかった。
でも、俺が拒絶していたら…きっと、ひかりは傷付いていただろうと思う。
どちらにしても傷付けることに変わりがないのなら…やはり、理性で押さえるべきだったかもしれない。



次の日から、俺の後悔はさらに大きなものになった。
ひかりの状態はさらに悪くなり、俺を怖がるようになったのだから。



(あの時は本当に落ちこんだ。
寝室もしばらくは別にして、俺はただひかりのことを見守ることしか出来なかった…)



でも、俺達はいろんなことを時間をかけ二人でどうにか乗り越えて…
そしてようやくここまでやって来た。

ひかりも最近ではこの世界にずいぶん慣れたように思える。
きっと、ひかりはこの世界で一生暮らすんだと考えていると思う。



だけど……



俺には実は心配なことがあった。
それは、ひかりがここに来てから変わったこと。
いろんなことがあるのだから変わるのも当然だと思われそうだけど、俺達はどんなに長い時が経っても、変わったということを作者が書かない限りはそのままだ。
だけど、ひかりは違う。
初めて知り合ったあの日から明らかに変わって来ている。
本人はまだはっきりとが自覚してないようだし、そういう話題が出たら、きっと痩せたせいだと言って誤魔化してきたけど、そもそも俺達は作者が書かない限り、痩せたりすることもないのだから。
賢者には口止めしてあるけど、そのうち、きっと、ひかりも気付いてしまうと思う。



それはすなわち現実にいた時と同じようなもんだってことだ。
俺の外見は少しも変わる事はなく、いつか、ひかりだけが年老いて死んでしまう。
ここでは、皆が俺と同じように変わらないのだから、その分余計にひかりは辛い想いをすることになるだろう。




(あの時、こんなことになるとわかっていたら、俺はどんなことをしてもひかりを止めたのに…)



俺は、これ以上ひかりには辛い想いをさせたくない。
何かないのか…?
ひかりを元の世界に戻せる方法は…
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