続・赤い流れ星
「これこれ、落ちつくんじゃ。
……残念じゃが、そうではない。
ひかりがわしらとは違って自由に動けることは確かなようじゃが…
しかし、ここから元の世界に戻るにはやはりなんらかの『手段』が必要になって来る。
ひかりの意志だけではどうにもならん。
今、考えられる中で最も有力と思える手段は、やはりあの門じゃが…
門を動かすにはやはり外からの影響がなければ無理なんじゃ。」

「ん…?ややこしいな。どういうことなんだよ。」

「つまりじゃな。
門には門の設定があるということじゃ。
動かすには大きな力が必要で、その力を持つわしも力を使い果たしてもう動かせんという設定じゃ。
ひかりにそれを変更することは出来ん。
たとえば、現実でもどこかに行きたいと考えた時、考えるだけではどうにもならんよな?
車か列車か飛行機か、何かを利用せんと行けん。
何の移動手段もなければ行けないじゃろう?」

「それが手段ってことか……」

「本来なら、おまえさんとひかりはプラトニックな関係が続く筈だったわけじゃが、ひかりはそれを自分の意志で覆した。
それは自分自身のことだからじゃ。
そのことで影響はあるじゃろうが、作者であるひかりがこっちに来ている以上、続編は書かれることはない。
もしかしたらそのこともなんらかの関係があるのかもしれんのう。」

「なるほどな……
結局、その手段さえみつかれば、ひかりは元の世界に帰れる可能性があるってことだな…」

「その通りじゃ。
だから、おまえさんも安心は出来んぞ。
ひかりは自分の設定に干渉されない意志をもっとるんじゃから、おまえさんのことを嫌いになるってことだってあるんじゃからな。」

「えっ!」

賢者はにやにやしながら、俺のことを見てる。
畜生!
あんな言葉に反応してしまった自分自身が口惜しい。



(ひかりは、絶対に俺のことを嫌いになんか…
そんなこと……あるはずない…!)



そう思いつつ、こんなに心が騒ぐのはなぜなんだろう…?



つまらないことを言った賢者を、俺はじっと睨み付けた。
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