続・赤い流れ星




「ひかり、起きてる?体調はどうだ?
少し食べといた方が良いぞ。
おかゆ作ってやろうか?」

ノックが響き、扉越しにシュウの声がした。



「……今は何もいらない。
もうしばらく眠りたいから、一人にしといて。」

「でも……
なぁ、ちょっと開けてくれないか?」

「寝てたら治るから…!」



シュウがドアノブを廻す音を聞きたくなくて、私は布団を頭からかぶった。
そのうち、シュウも諦めたのか、扉の前から足音が去って行き、それと同時に私の気分も少し落ち着いた。



(……何やってんだろ…私…)



静かな部屋の中で、私は激しい自己嫌悪に陥った。
なにかあるとすぐに冷静さを失ってしまうのは、あの頃と全く変わらない。
時はけっこう経ってるはずなのに、あれから私は何ひとつ成長していない。
特にシュウのことになったら、本当にだめ。
そんな自分自身がいやでたまらなくて……私は思いっきり落ちこんだ。



(しっかりしないと……
こんなことじゃ、これから生きていけないよ…)



そんなことを考えても少しも元気は出なかった。
私は布団の中でもう一度頭の中を整理した。
シュウによく言われる。
おまえは感情的なのか冷静なのかわからないって。
確かにその通りかもしれない。
なにかあると…どうしたら良いのカわからなくなると、一旦、頭の中を整理しようとするのは私の癖。
多分、これは兄さんの影響じゃないかって思う。
小さい頃、なにかあって私が兄さんに泣きつくと、兄さんは落ちついて最初から順番に話せってよく言った。
私は兄さんの言う通り、そのことを思い出しながら最初から順番に話して…
話してるうちに、忘れてたことを思い出したり気付く事もよくあった。
そのうち、兄さんとは離れ、相談をすることもほとんどなくなってしまったけど、私にはいつの間にか、物事を最初から考えて頭の中をまとめる癖が身に付いていた。
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