続・赤い流れ星
「あ…あの、おいくつですか?」

「う~ん…それが、僕には特に詳しい設定はないので…」

「あ……」

そうだよね。
こういうその他大勢の人は存在してはいても、特に設定があるわけじゃないから本人にもわからないんだ。



「きっと、24~5歳ですね。
もしかしたらお名前もないんですか?」

その人は苦笑いを浮かべて頷いた。



「じゃあ……
……雅樹君なんてどうですか?」

それはふと頭に浮かんだ漫画の登場人物の名前。
主人公と同じクラスの真面目君の名前だった。
なぜそのキャラを思い出したのかは自分でもよくわからないけど…



「僕に名前をつけてくれるんですか?」

「気に入らなかったら、別の…」

「いえ、とても嬉しいです!
気に入りました。
どうもありがとう!」

その人はとても喜んでくれて…その笑顔はけっこうさわやかでカッコ良かった。



「あの…私はひかりって言います。」

「ひかりさん…?
……まさか、主人公のひかりさん?」

「え?えぇ…まぁ…」

「光栄だなぁ…
僕みたいな者が主人公と接触することなんてないと思ってました。
そうですか、あなたがひかりさん。」

その人…雅樹君はそう言って、私のことをしげしげとみつめた。
そんなこと言われたの初めてだ。
そういえば、今まで話したことがあるのはお店の人とか話す必要のある人か、シュウの友達くらいのもので、雅樹君みたいなその他大勢の人とはしゃべったことはなかった。
こういう人達は、一応、私の存在は知ってても、話すことはおろか接触することもないんだな…



「あの…突然こういうこと言うのもおかしいですが、私と…友達になってもらえませんか?」

「えっ!?」

雅樹君は一瞬驚いたような顔をしたけど、やがて微笑みながら頷いてくれた。



「なんだか信じられないような気分ですけど…よろしくお願いします。」

雅樹君はそう言ってくれた。



(……良かった……)

一気に全身の力が抜けるような気がした。
しゃちほこばってた肩の力も抜けて、それからは雅樹君ともけっこう打ち解けて話すことが出来た。
雅樹君は趣味も無さそうだったから、彼の優しい雰囲気からガーデニングをすすめ、一緒に花の苗や土を買いに行った。
シュウと一緒の時よりもなぜだか気を遣うことがなく、そのせいか雅樹君と過ごす時間はけっこう心地良いもののように感じられた。
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