続・赤い流れ星




それから、三日程は急な仕事が入ったこともあり、気にはなりつつも野々村さんにはブログのことでさえなかなか連絡を取れないでいた。
ようやく仕事が一段落して、のぞいてみたブログは、いつも通り、とてもうまく書かれていた。



(そういえば、こんな話をしたこともあったな…)



マイケル達には一応毎日野々村さんに連絡を取るように言われていたが、忙しさにかまけて今回のようについ連絡が出来ない事がある。
そんな時には決まって、俺が以前話したことからなんらかのネタを思い出して書いてくれている。
誰だって、毎日、目新しいことばかりがあるわけではない。
マンネリ化した日々の中、本人が書く場合でも、ブログに何を書こうかと思い悩む事があると思うのだが、彼女はそういう空気感まで見事に表現している。



(本当にたいしたもんだ…)



彼女が俺のブログの他にどんな仕事を請け負っているのかはわからないが、そう暇ということもないだろう。
でも、彼女のことだから、美幸の続編の方も全く進んでいないということはないと思う。
たとえわずかでも、どういう状況になっているのか見てみたくて、俺は野々村さんに電話をかけた。
出来れば、今後も誰にもみつからないように二人でゆっくりと話をしたかったので、俺はウィークリーマンションを借りてそこで落ち合うことにした。







「あ…野々村さん、もう来られてたんですか。」

「は、はいっ。」

「お待たせしてすみません。
今、開けますから。」

俺は約束の時間にほぼちょうどに着いたんだが、野々村さんはすでに指定した部屋の前で立っていた。



「どうぞ…」

俺は野々村さんを部屋に通して狭いリビングのソファに座り、コンビニで買って来たペットボトルのお茶を差し出した。



「わざわざこんな真似してすみません。
ただ…このことはとにかく誰にも知られたくないもので…
もし良かったら、ここは野々村さんが自由に使って下さい。」

そう言って、俺はスペアキーを野々村さんに手渡した。



「あ、ありがとうございます。
一応、お預かりしておきますね。
それで…依頼されてたものなんですが…
かなりおかしな所もあるんですが…
これが、私の感じたすべてです。」

野々村さんの差し出したメモリーカードを俺はパソコンに接続した。

その内容を読み進めるうちに、俺は再び背筋が寒くなるのを感じていた。
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