続・赤い流れ星




「……大変だったんですね…」

「……そうですね。
自分のことならまだしも、家族のことってなると自分のことよりも難しいっていうか、なんていうか…
……そんなことより、くだらない話を聞かせてしまってすみません。
俺…こんな話、今までほとんど誰にもしたことないんだけど…どうしたんだろう…」

それは照れ隠しではなく、俺の本心だった。



「そ…そうなんですか!
あ、ありがとうございます!
そんな重大な秘密を、私なんかに話して下さって本当にありがとうございます!」

野々村さんはこっちが恐縮するくらいに、深々と頭を下げた。



「やだなぁ、野々村さん。
お礼を言うのは話を聞いてもらった俺の方ですよ。」

そう言った後に気がついた。
それは社交辞令の言葉に思えたが、でも、俺の気持ちは本当にすっきりしていた。
今まで誰にも話せなかっただけに、自分ではあまり気付かなかったが家族のことはやはり心の重石になっていたようだ。
それを野々村さんに話したことで、ずいぶんと気が晴れていることを、俺は改めて感じていた。



(……野々村さんって…不思議な人だな…)



「あ…あの……何か?」

「あ、すみません。」



俺はそんなことを考えながら、野々村さんの顔をみつめていたようだ。
美幸のことで彼女を頼ってしまったせいなのか、俺はいつの間にか野々村さんのことを思ったよりも信頼していたのかもしれない。
こんな特殊なことを打ち明けるには、やはり相手を信頼していなければ言いにくい。
それに、野々村さんも酔った勢いとはいえ、自分の秘密の能力のことを話してくれたのだから、俺もやっぱり話すべきだったんだと思う。
そういう似たような立場にいるからこそ、俺は野々村さんのことを信頼出来たのではないかと思う。



(いや…
それ以前に、俺はブログの代筆で彼女にはすべてを見透かされているような気持ちになっていた。
悪い意味ではなく、俺のことを最も良く理解してる人と感じるようになっているのかもしれないな…)



「……青木さん?」

「え…?
あ……あぁ、すみません。
あ、さっきの話ですけど…俺は野々村さんの能力は…」

話しかけた時、野々村さんは俯いて首を振った。
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