続・赤い流れ星
「じゃ、じゃあ…仮に、ひかりが誰かと浮気してるとして…
相手は一体誰なんだよ!」

「そんなこと、わしが知るわけはなかろう。
この世界に、どれだけの男がおると思うんじゃ?
或いは、他所の世界の住人ということだって考えられる。
……じゃが、おまえさんの耳に入らんということは、少なくともおまえさんと親しい奴ではないということじゃろうな。」

「当たり前だ。
俺の友達がひかりに手出しするわけがない。」

「そんなに気になるんだったら、本人に聞いてみたらどうじゃ?
もしくは、自分で調べるこったな。
ひかりの携帯を見るなり、跡をつけるなりすればすぐにわかるんじゃないのか?」

「そんなこと出来るもんか!」

俺は感情的にそう怒鳴ると、賢者の家を後にした。



俺だって、ひかりのことを調べたい気持ちはある。
だけど、携帯を見たり跡をつけるなんて、そんなこと、絶対にしたくはなかった。
馬鹿馬鹿しいけど、それが俺のプライドってもんだ。



(でも……)



俺は、もやもやした気持ちを抱えつつ、いきつけのプール・バーへ向かった。







「ちぇっ…」

「シュウ、どうした?
今日はえらく調子が悪いじゃないか。」

「俺にだって、調子の悪い日くらいあるさ。」



ひかりのことが気になって、全く集中出来ない。
そのせいで、いつもなら考えられないようなミスが続き、さんざんな結果となった。



「……もう、やめだ。
おい、皆、今日は思いっきり飲まないか?」

「そりゃあ良いけど…
こんな明るいうちから飲もうだなんて、シュウ…どうかしたのかよ?」

「なんでもないさ…ただ、飲みたいだけだ。」



俺は、キューを放り出し、酒を注文した。
ひかりの世界に行ってから、俺はほとんど飲むことはなかった。
それは、ただ単にひかりの家に酒がなかったから。
俺は、酒が嫌いではなかったものの、飲まずにはいられないという程の酒好きでもない。
あっちに行ってからは、とにかくひかりと一緒にいられることが幸せで、酒のことなんて考えることもなかった。
こっちに戻って来て、友達と会うようになってからはたまに飲むこともあったけど、それもほんのつきあい程度だ。
だが、今日はもうめちゃめちゃに飲みたい気分だった。
記憶がなくなる程、酔って酔って酔い潰れたい気分だった。



(ひかり…おまえ、何やってんだよ…)



俺は、グラスの中の強い酒を一気に飲み干した。
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