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プロローグ
それはあたしが高校生になる前だった。
愛想を振りまいていたあたしの中学時代が終わった次の日。お母さんが仕事に行ったのを確認して外に出る。
「ぅっ…」
近くの公園でブラついてるとどこからかうなり声が聞こえた。
喧嘩⁇あたしがその声がした方に寄るとベンチの上に男の子が寝っ転がってた。
暗くて顔は良く見えないけど…
特に怪我とかしてないみたいだし…
「ねぇ、大丈夫⁇」
なんだか気になってそう声をかけた。
「……だ…れだ…」
30秒くらいたった頃男の子が掠れた、でもなんだか心地の良い声で言った。
その声だけでなぜかドキっとした。
初対面でしかも顔が見えない相手に自分の事を言うのはなんだかやだけど…
でもなぜか言ってしまったんだ。
「あたしは…三日月…愛来。」
自分の本名を…初めて、知らない人に教えた。
「知…らねぇ…俺は…平気っ…だから…はぁ…早く…帰れ…危ない…から。」
息切れしながらも確実に話してくれた。そして、心配してくれてるんだろうな…
「そう…⁇気をつけてね⁇それじゃあ、バイバイ。」
なぜか大丈夫だと思った。
あたしはそのまままっすぐ家に戻った。
あたしはその日めずらしく良く眠れたんだ。