青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


「中学のときからの大親友ですから!なぁ慎也!?」

「…そう、かな。うん、よく一緒に遊んだね」


池谷くんの微妙な反応に、派手めな女子が「ちょっとトモぉー」と笑いながら言った。


「池谷くん、困ってるけどぉ?ホントに大親友だったの?」

「マジだし!慎也が東京行ってからも、連絡取り合ってたし!」


…東京、か。

こんな田舎町から東京へ行って、そうして一年でまた帰ってくるなんて、さそがし大変だったに違いない。

家の事情か、何かだろうか。

トモと女子が言い合いを始めたところで、担任が「ハイハイ、静かにー」と口を挟んだ。

「みんな、池谷と仲良くな。ほい、じゃあホームルーム終わり」

委員長が、号令をかける。

起立、礼、といつも通りの挨拶をしながら、あたしは不思議な雰囲気を持った転校生を、視界の端に映していた。





「慎也ぁーっ」


ホームルーム後、いつも以上にハイテンションなトモが、さっそく池谷くんに抱きつこうと飛びかかった。


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