青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
ずっと実らない恋をしている彼は、それでも『好きでどうしようもない』と言っていた。
そんなにまで、誰かを一途に愛せる彼が。
すごく、眩しかったから。
「……あたしだって、どうしようもない…」
叶わないって、わかってる。
今のあたしじゃ、到底彼の瞳に映ることなんか、できないって。
だからこそ、あたしはぶつかっていきたい。
今まで、何かに対して一生懸命にぶつかっていく人を、あたしは羨ましいと思いながら見ていた。
けどもう、それだけじゃいられないから。
梅雨明けした空に、眩しいほどの太陽が照りつけている。
日の光が窓から差していて、彼の黒髪が茶色に透けていた。
彼が遠くで、笑う。
…縮まらない、この距離を。
どうやって埋めれば、いいんだろう。
*
「あんたさぁ、池谷くんの何なの?」
教室のある階から離れた場所にある、人通りの少ない空き教室。
そこで私は壁際に追い詰められ、女子達に囲まれていた。