青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「ちょ、なにすっ……!」
けど、舞う水飛沫の間で見えたのは、思い切り笑う彼の姿だった。
「……………」
顎からポタポタと、雫が落ちる。
同様に、指先から雫を落とす彼は、ただただ目を見開くあたしを見て、面白そうに笑った。
「ポカンとしすぎ、麗奈」
………う、わ。
なにその、不意打ち。
心臓が、めちゃくちゃ痛いー…!
「…しっ、慎也が!いきなり水ぶっかけてくるからでしょー!?」
「ハハ、麗奈、顔めちゃくちゃ濡れて…うわっ、ちょ、ごめんって!ごめん!だから水かけんのやめて!」
仕返しと言わんばかりに、水をかけまくる。
気づいたら、慎也の体操服はびしょ濡れだった。
「………俺がかけたのよりも、多い気がするんだけど」
「アハハ、ごっめーん」
あたしがそう笑うと、慎也はムッとした顔で見てくる。
それに合わせて見つめ返すと、やがてどちらからともなく笑い合った。