青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
……トモくんが麗奈ちゃんにフラれたその日の夜、彼から電話がかかってきた。
いつも通りの明るい声で、『俺、フラれたわ』なんて言ってきた彼に、私は慰めることもできず、『そっか』と返しただけだった。
それからこの一週間、トモくんはずっと笑っていたけど。
……本当は、きっと。
「……もう、七時になるね」
「うん」
「帰らなきゃ、いけないね」
「……うん」
無表情を変えることなく、彼は静かに答える。
……トモくんは、『教室に用事を思い出した』と言っていたけど。
それが嘘だろうと思ったのは、気のせいじゃない。
青を失った空が、彼の表情に影を落とす。
空の朱色を見て、なんて寂しい色なんだろうと、思った。