青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
…ああもう、目立つ!
トモは明るくて誰にでもフレンドリーだから、顔が広いし。
利乃はその可愛い容姿で、校内でも知らない人はいないし。
おまけに池谷くんも、この整った容姿のおかげで、この数日で一気に有名人になっていた。
ただでさえ、声がデカい利乃とトモがいるのにっ。
目立ちすぎ!
早くこの場から立ち去りたいという思いを隠すことなく、抱きついてくる利乃を引きずりながら歩く。
すると近くから、ハハッと笑い声が聞こえた。
…え?
驚いて、横を見る。
…池谷くんが、あたしを見て笑っていた。
「…え」
「面白いね、小城さん」
彼が、目を細めてあたしの名前を口にする。
お、面白いって。
初めて彼と話すために、上手く舌が回らない。
…笑った。
その澄んだ瞳に、あたしが映った。
「…な、なんで、あたしの名前」
「知ってるよ、そのくらい。利乃と一緒にいるし。小城さんて、面白いよね」
初めて言われたんだけど、そんなこと。
なにが面白いの、意味わかんない。
あたしは目をそらしながら、「何も面白くないしっ」と可愛くない返事をした。