青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「先に帰っててってさ」
……用事。
下校する生徒達が、私たちの横を通り過ぎていく。
慎ちゃんの言葉に、ぎゅ、とカバンの持ち手を握りしめた。
「…どーしたんだろ、トモ。そういえば、朝もなんか機嫌悪かったよね」
不安そうな顔をする麗奈ちゃんを見て、呆然とした。
…トモくんは朝、不機嫌な顔をして学校へ来た。
滅多にない彼の様子に、みんな心配していたけど。
「……………」
考えて考えて、でも行きつくところは、ひとつしかなかった。
パッと上を向いて、見えるのは快晴の空。
今日は終業式だけで早く終わったから、今はまだお昼過ぎだ。
青い青い、空。
白い雲がいろんな形をして、浮かんでいる。
……金曜日の青を失った空の下、俯く彼を思い出した。
「あー!!」
私が突然出した大声に、ふたりがびくりとする。