青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「…池谷くん、変」
「ハハ、よく言われる」
そう言って穏やかに笑う池谷くんを、あたしは頭の芯が熱くなるのを感じながら、見つめていた。
…変だ、彼は。
あたしから見える席に座っている彼は、授業中、ときおり窓の外を眺めている。
普段からぼうっと雨を眺めているあたしは、同じように窓を見つめているその綺麗な横顔に、すぐに気づいた。
…彼の目は、いつもどこか遠くを見ていて。
その不思議な雰囲気に、女子も男子もガツガツとは近寄れない。
中学からの友達である、利乃とトモくらいだ。
彼との距離が、こんなにも近いのは。
*
「……最悪……」
七月も、中旬に入った。
あれから、あたしと利乃、池谷くんとトモの四人でいることも、多くなっていた。
そんな日の、放課後。
あたしは昇降口で、外を見つめて立ち尽くしていた。