青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「知ってるでしょ、なんか誤魔化してるでしょ!?」
「知らないって!ホラ麗奈ちゃん、店員さん困ってるから」
驚いて横をみると、店員が苦笑いを浮かべながら、クレープを差し出していた。
「あ…すみません」
ぺこぺこ頭を下げながら、受け取る。
フードコートの空いている席を探しながら、あたしは前を歩く利乃の背中へ駆け寄った。
「ちょっと利乃!なんか知ってるんでしょ?」
「んもー、知らないってばぁ!さっきは、ちょっと驚いただけ!」
しつこい、と頬を膨らませる利乃に、うっと言葉がつまる。
…でもやっぱり、モヤモヤする。
さっきの顔は、ただ驚いたってだけの顔じゃなかった。
焦ったような、困ったような…そんな、かんじ。
ガタッとイスを引いて、ドカッと座る。
ムッとした顔をするあたしに、利乃は苦笑いしながら、「なんにもないってば」と言った。