青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「慎ちゃんの好きな人かぁ〜、東京で知り合った子かなぁ?」
「…違うと思う。長いことずっと想ってるみたいだし」
「…そっかぁ。んー、同じ中学の子かなぁ?誰かそれっぽい人、いたっけ……」
うーんと考え始める利乃を、じっと見つめる。
…なにを、隠してるの。
なんで、隠すの。
その好きな人が、あたしじゃ到底敵わないような美人とか?
禁断の愛、…とか…?
………わかんない。
そういえば、前にもこんなことあったっけ。
慎也が転校してきた日の帰り道、『連絡取り合ってなかったの?』って尋ねたら、利乃はさっきみたいな顔をした。
そうして誤魔化すように、『連絡先、聞くの忘れちゃってて』なんて、嘘みたいな言い訳をして。
……利乃と、まだ出会って一年とちょっとしか経ってないけど。
やっぱりまだ、あたしは利乃にとって、信頼できる相手じゃないのかな。
結構好かれてるもんだと思ってたけど、そこまでないの…かなぁ。