青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


「……慎也に連絡して、帰ろうかな」

『だ、ダメ!それだけはダメー!私とトモくんの分も、楽しんできて!んで、ちょっとラブラブになってきて!』

ちょっとラブラブになってきてって何。

意味わかんないんですけど。

あたし、浴衣まで着てきたのに。

すごい気合い入ってると思われるじゃん!


「もお、利乃のバカぁぁ〜…」

『ごめんっ、ごめんね!今度会ったら、何でもするから!ほんとに!なんでもお申し付け下さい!』

「じゃあ、英語の課題半分やってよー?」

『…や、やります!やりますやります喜んで!』

たんまりと出された夏休み課題のうち、英語の課題の半分を任せるという約束を取り付け、あたしは渋々電話を切った。


ふーー、と長いため息をつく。

……利乃もトモも、いない。

今日は、慎也とふたりきり。

そう考えると、一気に心拍数が上がってくる。

改めて自分の姿を見つめて、恥ずかしくなってきた。


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