青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「……じゃあ、今日は麗奈と、ふたりか」
…ドキっと、心臓が音を立てる。
あたしを見つめるその視線が優しくて、思わず目をそらした。
「…そっ、そお、なるね」
「……なんか麗奈、いつもと違う?」
頭上から聞こえた意味深な言い方に、バッと顔を上げる。
……あたしの頭から足元まで見ると、慎也はフ、と笑った。
「……浴衣だ」
かぁぁっと、一気に顔の温度が上昇する。
ああもうやばい、爆発しそう。
どうせ似合ってないけどっ、似合ってないけど!
うっかり、喜んじゃいそうになるから!
「だっ、だっ、だからっ、なにっ?言いたいことがあるなら、言って!」
「ハハ、なんもないよ。つーか、また緊張してる」
面白そうに笑って、あたしのくるりと巻かれた髪に触れる。
ああもうやだ、この人。
わざとやってんのかってくらい、視線も表情も声も、優しい。
…すっごい、ムカつく。