青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「…あ、ごめん、ありがと」
「…ふ。テンションたっか」
…う。
ちょっとバカにされたみたいで、悔しい。
唇を尖らせながら彼から離れ、花火を見上げた。
「だって、まさかこんなところで見れると思ってなかったし。いーでしょ、テンション上がったって」
色とりどりの小さな光が、あたしの視界を覆いつくす。
耳に響く重低音が、あたしの心臓ごと震わせている気がした。
「…喜んでくれて、何より」
ふと隣に視線を移せば、綺麗な横顔が見える。
その瞳には、花火の光が映っている。
花火が打ち上がる度、彼の整った顔に影をつくった。
「…ここ、よく知ってたね。穴場じゃん」
「中学の頃、トモと見つけたんだよ。この建物、昔は一階に店があったらしいんだけどね」
錆び付いたてすりも、汚れた建物も。
慎也とトモの思い出のなかへ、あたしは連れてきてもらったんだ。