青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


『…俺は、池谷慎也。よろ、しく』


戸惑いながら、手を差し出してみる。

利乃はきょとんとしていたけど、すぐに理解して『うんっ』と握手してきた。

小さくて可愛らしくて、大人達が好みそうな笑顔を浮かべる女の子。

俺はそのお隣さんが、大の苦手だった。



『慎也っ、利乃ちゃんが来てくれたわよ』


小学校に入学してからは、当たり前のように利乃と登校させられるようになった。

朝の支度を慌てて終えて玄関の扉を開けると、いつもと同じにっこりとした笑顔に迎えられる。


『おはよう、慎也くん』


その笑顔を見る度、俺はげんなりした。

今日も彼女は可愛らしいピンクのワンピースを着て、真っ赤なランドセルをせおって、俺の隣を歩く。


利乃は学校で、いい意味でも悪い意味でも目立つ生徒だった。


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