青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


……再婚…

親が離婚すらしていないあたしには、到底利乃の気持ちはわからない。

けど…突然知らない男の人が、まるで父親のように家にいるって、どんな気持ちなんだろう。


……想像したら、怖いなって、感じた。


「私、全然笑えなくて、自分の部屋に逃げちゃった。私…その人のこと家族として、この先受け入れられるのかな」

利乃が目を伏せて、諦めたように微笑む。

あたしとトモは、何も言えない。

友達とはいえ、他人の家庭のことに口を出すことはできない。

だからといって…利乃のお母さんは、決して悪いことをしているわけじゃないから。

……なにを言っていいか、わからなくて。

そんなあたしとトモを見て、利乃は「ごめんね、愚痴って」なんて笑う。

けど、慎也は違った。


利乃のことをずっと見ていた慎也だけは、違ったんだ。


「……言いなよ、それ」

そう、隣から低い声が聞こえた。

利乃が、眉を寄せる。

あたしとトモは、驚いて慎也を見た。


「…今の、利乃の気持ち。ちゃんと、言いなよ。おばさんにさ」


普段穏やかな慎也が、すごく厳しい目をしてる。

手のひらを、きつく握りしめていていた。

利乃は慎也をじっと見つめて、ふいっと目をそらした。


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