青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…私のなかから『青』が、消えていく。

愛しい愛しい『青』が、薄れていく。

お願い、だ。


これ以上、私を弱くしないで。






三日目の補習、利乃は学校を休んだ。

メールをしてみたら、熱があるらしい。

あたしは帰りに、お見舞いに行くことにした。

…たぶん、今利乃の家には誰もいないんだろうから。

不器用なあたしでも作れるようなおかゆのレシピを探して、材料を買って行こう。


そう思いながら学校を出て、数分後。

携帯が着信で震えた。


「もしもしー?」


相手は、利乃。

彼女はあたしの能天気な声に、ふふっと笑った。

『麗奈ちゃんだぁ』

「…そーだよ。あたしの携帯にかけてきたんでしょーが。で、どしたの?今からお見舞いに行こうと思ってるんだけど」

利乃は嬉しそうに、『ホントー?』と鼻声で言った。



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