青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
『へへ。なんかねぇ、麗奈ちゃんの声が聞きたいなぁって思って、電話したの。以心伝心かなぁー?』
「…何いってんの。恥ずかしい奴」
『そんなこと言わないでよぉ〜』
…よかった、いつもの利乃だ。
なんだかホッとして、あたしまで笑みがこぼれてくる。
「あ、買い物してから行くね?なんか食べたいものとか必要なもの、ある?」
『えっ、いいの?じゃあねえ、果物食べたい!』
いつも通り、明るい利乃との会話。
…そう、いつも通り、と思っていた。
その中に、一体今までいくつの『嘘』がまぎれていたんだろう。
こんなに一緒にいたのに、あたしは今まで、利乃の何を見ていたんだろう。
でも、利乃が何も考えずに嘘をつくような子じゃないって、わかるから。
……ちゃんと、知りたいんだ。
利乃の気持ち、慎也の気持ち。
あたしはふたりのために、何ができるのか。
…考えなきゃ、いけないんだ。
*
利乃の家の前に着くと、ちょうど慎也が利乃の家から出てきたところだった。