青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…今、あたしができるのは。

利乃をなぐさめることでも、ふたりを黙って見ていることでも、ない。

だってあたしは、不器用だから。

うまい言葉も方法も、見つからない。

だからあたしは、あたしの気持ちで。

あたしの、ふたりを想う気持ちで。



正面から、ぶつかるだけだ。



「…あたし、諦めてないからね!」

慎也が、目を見開く。

告白したときよりずっと、心臓が音を立てている。

怖い、受け入れてもらえないかもしれない。

そう思ったけど、言わなきゃ何も変わらないんだから。


「慎也がっ、利乃を好きでも!あたしは、慎也も利乃も好きだから…っ、慎也があたしのこと嫌いになるまで、好きでいる!」


もしかしたら、利乃に聞こえているかもしれない。

あたしが来るのを待っている、利乃に聞こえているかもしれない。

それでも、いい。

あたしは、嘘がつけない人間だから。

そういうあたしを、好きになりたいから。



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