青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
慎也は眉を寄せて、戸惑った表情であたしを見ていた。
「…麗奈」
「こっち向いてくれるまで、絶対あきらめない!」
彼が、少しずつあたしの方へ歩いてくる。
顔が、ひどく熱い。
ああもう、頭が回らない。
いいたいことが、もっとあったはずなのに。
ぜんぶぜんぶ吹き飛んでいっちゃって、困る。
「だから………っ」
「麗奈!」
パシ、と。
腕を掴まれて、あたしは口を閉じた。
見上げると、辛そうに目を細める慎也がいる。
…違うんだよ。
あたしは、そういう顔をさせたいんじゃなくて。
もう一度口を開こうとしたあたしに、慎也は「麗奈」と呼んだ。
「…なんで、そんなこと言うんだよ。…俺のことなんか好きでいたって、麗奈は損しかしない」
…損なんか、しない。
絶対、しない。
するわけ、ない。
じわじわと、瞳に涙がたまっていく。
それがまた悔しくて、さらに視界を歪ませた。