青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
慎也の綺麗な瞳に、あたしが映ってる。
…彼の目に、確かに自分が映ってる。
この目が素直な感情で細められたとき、その先にいるのがあたしでありたい。
…そう、想うんだよ。
「いつか絶対、慎也のこと好きになってよかったって、思ってやるから。……あたしは慎也の、大切なひとになりたい!」
まっすぐで、いい。
きっとその方が、彼には伝わる。
慎也が、目を見開いてあたしを見てる。
あたしはいてもたってもいられなくてなって、恥ずかしくて、「じゃ、じゃあ!」と手を離した。
「そっ…そういう、ことだから!あたしはこれからも、慎也のことが好きだから!……じゃ、じゃあね!」
自分でまくしたてといて、なに言ってるんだろうか。
でも慎也、何も言わないから。
逃げるしか、ないっていうか。
急いで、利乃の家の門を開ける。
利乃に『玄関を開けてるから、入っていいよ』と言われていたから、遠慮なくガチャリと開けた。
バタンと閉めて、玄関にへたり込む。
はぁ、とため息をついて、目元に浮かんだ涙を拭った。