青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


利乃とは違う、素直な生き方をする女の子。

彼女が、俺に好きな人がいることを知ったとき、彼女は泣きそうな目をしていて。


『池谷くんの、笑顔。ときどき、苦しそうに見える…!』


…あんなにも正面からぶつかってくる子、なかなかいないよ。

優しくて、それでいて厳しい。

俺が必死に目を背けていることを、ぶつけてくる。

…勘弁してよ、麗奈。


俺の頭の中、麗奈ばっかりだ。


雨の日、はじめてふたりで帰った日を思い出す。

雨の青と、海の青が混じり合った。


不意に、利乃の声が耳の奥で響いて、俺に鎖をかける。


『ねえ、慎ちゃん』


……利乃。

俺は、どうすればいい?







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