青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
手紙
「麗奈ちゃんっ、来てくれてありがとう〜!」
玄関にいたあたしに、利乃はニコニコしながら二階へ手招きしてきた。
さっきのあたしと慎也の会話は聞こえていなかったのか、いつも通りだ。
てゆーか、案外元気そう…?
「あっ、飲み物とってくるね!」
あたしを部屋へ入れるなり、利乃は部屋を出ようとする。
慌てて、「ええっ」と止めた。
「あたしがお見舞いに来たんだから、利乃はそんなことしなくていいよっ」
「いいの!それに私、もう熱下がっちゃったし。ぜーんぜん平気!」
言うが早いか、利乃は部屋を出てバタバタと階段を降りて行った。
ちょ…無理しないでよ…。
はぁ、とため息をつく。
…やっぱり、家の中はしんとしていた。
熱が出ても、看病してくれるひとはいないんだ。
…でもきっと、これが利乃の当たり前なんだろうな。
その場に座って、部屋の中を見回してみる。
利乃の部屋に入るのは、そういえば初めてだ。
遊びにいくときとか、利乃の家の前まで迎えに来ることはあったけど。