青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
高校二年の七月。
一学期の期末テストが終わって、あとは夏休みを待つばかりの時期。
あたしは今まで大きな問題もなく、特別な出来事が起きるわけでもなく、平々凡々と生きていた。
どこにでもいるような、そんな女子高生。
この高校は一応進学校ではあるけど、特別に偏差値が高いというわけでもない。
顔立ちだって、可もなく不可もなく。
性格でいえば、少しだけ周りのキャピキャピした女子より冷めているかもしれない、というくらい。
特技があるわけでも、何か変わった趣味があるわけでもない。
本当にあたしはどこにでもいる、『普通の』女子高生だ。
「あのね、今日の昼休みにね?二組の高田くんに告白されちゃった」
それに比べ、利乃は『特別な』女子高生。
学校を出てからしばらくして、利乃はポッと頬を桃色に染めてそう言った。
利乃は、校内一と言ってもいいくらいに可愛い。
低い身長と華奢な身体、ふわふわの長い髪をして、愛想良く笑う。
長いのは面倒だからと、髪はバッサリ肩口で切っているあたしとは、大違い。
利乃は全校の男子に、絶大な人気を誇っている女の子なんだ。