青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


だって、逃げるんだもん。

彼はあたしの気持ちから、逃げようとしているから。


あたしは、彼のもとへ駆け寄る。

驚く彼の顔を、のぞきこんで。

じ、と見つめた。


「…目ぇ、そらさないで。ちゃんと、見て」


あたしの言葉に、慎也が苦しそうに目を細める。

…君は前にも、言ってたね。


『俺は、まっすぐじゃないよ』

『だから少し、小城さんが羨ましい』


それは、自分だって『まっすぐになりたい』って、思ってるからでしょう。

だからあたしから、目を逸らす。

逃げようと、する。

ねえ、ちゃんと見て。


あたしのこと、見て。



「…麗奈はほんと、優しいね」

ぽつり、と。

慎也は切なげに笑って、そう言った。

そして、あたしの頬に手を添える。

彼の冷たい手は、夏の温度で熱くなった体温には、心地よかったけど。


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