青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


……あたしは、ふたりにとってなんなんだろう。

友達って、なに?

…どうしたら、いいの。


あたしは、どうすべきなの。







麗奈ちゃんが家にきた日の、翌日の昼。

私は、慎ちゃんの家を訪ねた。


「…どしたの、利乃」


玄関の扉を開けてくれた慎ちゃんの横をすり抜けて、靴を脱ぎ、「お邪魔します」と言ってスタスタと中へ入る。

そんな私の背中へ、慎ちゃんは呆れたようにため息をついて「おい、利乃」と声をかけた。


「…お腹すいた。何か食べたい」

「は?」

「昨日の夜から何も食べてないの。何か作って、慎ちゃん」


もう昼だっていうのに、まだお母さんは帰ってきていない。

麗奈ちゃんとのことがあって、昨日は部屋で塞ぎ込んでいたし。

料理する気にも、なれなかったから。

リビングへ入る前にそう言うと、慎ちゃんは少しの間私を見つめて、すぐに「…わかったよ」と言ってくれた。



「慎ちゃんのお料理、食べるの久しぶりだね」

今はもうふたりしか座ることのない、食卓。

そのひとつの席に座って、私は台所に立つ慎ちゃんに笑いかけた。



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