青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


『約束だよ』


愛しい愛しい、君だけ。


かけがえのない夏を過ごしたのは、間違いなく君だけでした。







「トモー、今日も慎也、来ねえの?」


クラスの友達の家に入り浸るのは、夏休みの恒例みたいもので。

今日も、たまりにたまった課題をこなすという口実のもと、友達の家でゲームをする。

そんな俺の夏休みには、慎也もいることが当たり前のはずだった。

去年は、慎也が東京に行ってたから遊べなかったけど。


…今年も、慎也は俺の近くにはいない。


「…んー、なんか、最近メールしても返信ねえ。電話しても出ねえ」

「まじかよ。とうとう嫌われたんじゃねえの、お前。ウザいから」

「ウザい言うな。俺と慎也の仲に誓って、それはないね」


…なんて。

いつも通り、根拠のない自信を言葉に乗せてみる。

いや、中学の頃はあったんだ、根拠。

慎也は俺にとって、いちばん仲の良い友達で。

カッコいい容姿持ってるくせに、全然鼻にかけてないし。

それでいて性格良すぎるから、逆に憎らしくなるほどだ。


…今年の夏休みは、慎也も隣でゲームしてるはずだった。

けどあいつ、最近になってメールにも電話にも反応しない。


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