青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
どうなってんだよ、ほんと。
補習の日、麗奈ちゃんと慎也が一緒に帰った放課後。
利乃ちゃんは、いつも明るい彼女とは思えないほど、泣き崩れていた。
俺は今まで、強くて気丈な利乃ちゃんしか知らなかったから。
原因は、慎也と麗奈ちゃん。
『なんでこんなに弱いんだろ』って、言っていた。
麗奈ちゃんとは、何かあったように見えなかったし。
たぶん、慎也。
俺は中学の頃から慎也と利乃ちゃんをいちばん近くで見てきたから、勝手に理解してるつもりでいたけど。
まだ俺は、ふたりのことを何ひとつわかってあげられてないんだ。
慎也を東京へ行かせたのは利乃ちゃんで、その理由も知って。
けど、俺にはどうすることもできなかった。
その華奢な背中を、なぐさめてあげることしかできなかった。
『私っ、慎ちゃんと離れるって決めたの!だから泣いちゃだめ、強くなるの…!』
……中学の頃、慎也に支えられて生きていた利乃ちゃんが。
慎也より先に、その関係から一歩踏み出す決意をした。
大人になったって、ことなのかな。
前へ進むために慎也から離れるっていう利乃ちゃんの選択が、正しいのかはわからない。