青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


携帯を見ながら、思わず眉を下げて笑ってしまう。


【相談したいことがあります】


……ほら。


やっぱり俺たち、気が合うね。






メールをすると、トモはすぐに返信してくれた。

待ち合わせは、学校の近くの公園。

場所を決めてから家を出たあたしは、急いで電車に飛び乗った。

トモは既に外に出ていたみたいだったから、場所につくのも早くて。

頑張って走ったけど、三十分も待たせてしまった。


「ご、ごめっ……はぁ、はぁ」

「アハハ、超息切れてんじゃん。俺が会って話したいって言ったんだし、俺こそごめんな」


公園に生い茂る、緑色の木々。

あたしはその陰が覆うベンチに座って、トモは近くの木の幹に寄りかかる。

走ったせいもあって汗だくになったあたしを、トモは面白そうに笑った。

「麗奈ちゃん、顔真っ赤」

「…悪かったね。だって暑いんだもん」

ふー、と息をついて、パタパタと手で顔を仰ぐ。

公園では、小さな子供達が楽しそうにボールで遊んでいたり、虫取りをしたりしていた。

残りの夏を精一杯に生きる蝉たちが、わんさか鳴いている。


あたしはそんな、どこにでもある夏の光景を、目を細めて見ていた。


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