青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
…八月が終わって、今日から九月。
二学期がスタートする日。
なのに私は、早くも始業式をサボり、いつもより一時間遅く家を出ようとしていた。
だってちゃんと今日、笑うことができるか不安で。
眠れなくて、寝坊したなんて。
立派な遅刻だけど、もう気にする気も起きない。
今から行ったら、二限目が始まる頃には間に合うかな。
そう思いながら、学校へ行って。
予想通り、始業式のあとの休み時間に、靴箱へたどり着く。
先生への言い訳を考えていた頭は、突然呼ばれた声にハッとした。
「……あっ、利乃!」
その声にびくりとして、驚く。
見ると麗奈ちゃんとトモくんが、慌てた様子で階段を降りてきていた。
戸惑っていると、ふたりは私の前で立ち止まって。
麗奈ちゃんが震えた声で、言った。
「…慎也が、まだ来てないの」
…え。
靴を履き替えていた、動きが止まる。
もうすぐチャイムが鳴るからか、生徒達がぞろぞろと教室へ入っていく。
そのなかで、私たち三人は靴箱の前で立ち止まっていた。