青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


…だって。

もう、慎ちゃんのいちばんは私じゃないんだよ。

私にできることなんか、きっとほとんどない。

なのに、なんで私が……



「…っこの世界で、慎也を『慎ちゃん』って呼べるのは、これからも利乃だけなんだよ!!」



その言葉に、ハッとした。

顔をあげて、麗奈ちゃんを見つめる。

彼女はその瞳から、ボロボロと涙をこぼしていた。

唇を噛んで、手の甲で涙を拭う。


「…なんで、わかんないのぉ…」


私の目の前で、私の大切な人が泣いている。

麗奈ちゃんの背中を、トモくんが目を伏せてさする。

そして私を見て、「利乃ちゃん」と言った。


「…利乃ちゃんのほんとの気持ち、慎也にぶつけてきなよ」


私の、本当の気持ち。

…でも、言ったら。

それを言って、しまったら。


「言ったら、前に進めない。…私と慎ちゃん、ずっとずっとふたりっきりになっちゃう……!」

「ならないよ、馬鹿!」


その声に、びくりと肩が揺れる。

麗奈ちゃんは必死に涙をぬぐいながら、「ねえ、利乃」と涙声で言った。


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