青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
「確かにあたしは、あんたとまだ一年と少ししか、一緒にいないけどさ。…いっぱい、しゃべってきたじゃん、遊んだじゃん」
麗奈ちゃんは私を、涙に濡れた綺麗な瞳で、見つめた。
「ちょっとくらい、本当の気持ち見せてよ。…ふたりきりなんか、ならない。…絶対、ならないよ」
……ねえ、慎ちゃん。
私たち、何を怖がっていたんだろう。
もう、違うんだ。
私たちはもう、ふたりきりじゃないんだ。
……慎ちゃん、慎ちゃん。
「今、慎也のとこに行けるのは、利乃ちゃんしかいないから」
トモくんはあの明るい笑みで、私に勇気をくれた。
「…行ってきて。俺らの気持ちごと、伝えてきて」
…うん。
私達、前に進みたいから。
私達、強くなりたいから。
「…行って、くる」
唇を噛んで、そう言った。
ふたりは大きく、頷いて。
私は荷物を置いて、走り出した。
学校を出て、もう見慣れた通学路を駆ける。