青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
…夏の香りはもう仄かになっていて、あんなにも強く私達を灼いていた太陽も、優しくなって。
あの頃、ずっと私達を包んでいた蝉の鳴き声も、もう遠くに聞こえる。
……夏の、終わり。
君との季節の、終わり。
私はもう一度、あの夏へ帰る。
『約束だよ』
ふたりでもう一度、手を繋ぐんだ。
そして今度は、お別れをしなきゃ。
手を離すために、手を繋がなきゃ。
あの頃、泣いていた私を抱きしめてくれた、慎ちゃんのように。
今度は私が、慎ちゃんを抱きしめるんだ。
『ちょっとくらい、本当の気持ち見せてよ。…ふたりきりなんか、ならない。…絶対、ならないよ』
『…行ってきて。俺らの気持ちごと、伝えてきて』
私達にはもう、大切な人がたくさんにいるから。
…寂しい寂しい、ふたりきりの夏。
置き去りにされた君を、今度は三人で助けに行くよ。