青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


あたしは砂のついた彼のズボンを見て、小さく笑った。


「…おかえり」


すると、慎也はあたしの頬に手を添えた。

見上げると、しっかりと目が合う。

…映ってる。


慎也の瞳には、ちゃんとあたしが映ってるんだ。


彼はあたしを見つめて、そしてふわりと笑った。


「……ん。ただいま」


…その笑顔には、もう。

寂しいって感情も、無理をして笑う様子もなくて。

…夏の終わり。

ひとつの恋の、終わり。



「……麗奈」


ふと、彼が名前を呼んだ。

見上げれば、慎也はまっすぐにあたしを見ていて。



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