青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。
…ただ、少しだけ問題があるんだよね。
「またぁ?利乃、ほんと多いね」
あたしが眉を下げて驚くと、利乃はフフッと笑って、「まぁね」と言った。
「だって、私だもん。可愛いから好きになっちゃうのは、仕方ないよね」
まるでいたずらっ子のように、利乃は愛らしく微笑む。
あたしは聞き慣れたその台詞に、「あー、そうだね」と呆れた目をして返した。
…利乃は、確かに可愛い。
けど、それを自覚した上で男子と接している、隠れ小悪魔ちゃんでもあるのだ。
だからか、ぶりっ子を見抜くのが上手い女子には、嫌われやすい。
あたしは逆に、作っているんじゃないかと思えるような天然を炸裂させる女子の方が、苦手だったりする。
こういう、ちょっと曲がったところのある子の方が、接しやすいし好き。
それもあって、あたし達はすぐに仲良くなった。
「で?返事はどうしたの」
二組の高田といえば、明るくてかっこいいと噂される理系の男子。
「もちろん断ったよ?なんか高田くん、カッコよすぎて面白くないんだもん」
利乃は、ケロっと答える。
こんな言葉、高田を好きな女子が聞いたら、怒り狂うに違いない。