青に染まる夏の日、君の大切なひとになれたなら。


「はぁ、早く夏休みになんないかなぁ。あ、でも課題がいっぱい出るのはやだー!」


高田の話はすぐに終わり、利乃の話題は夏休みへと移ってしまった。ドンマイ高田。


「夏休みねえ…これ以上暑くなるんだと思うと、来ないで欲しい気もするけどね」


傘を持っていない方の手で顔を仰ぎながら、ため息をつく。

雨が降っているとはいえ、暑いことに変わりはない。

むしろ、雨のせいで蒸し暑い。嫌な暑さだよ。

雨自体は嫌いじゃないけど、この暑さは勘弁して欲しい。

汗が、じわりと首の後ろでにじむ感覚がした。


「ジメジメ、だねぇ。テストの点もあんまり良くなかったし、夏休みは勉強しなきゃなぁ」


利乃が、そう言って伸びをする。


……夏休み。

勉強、か。

進学する生徒の多いうちの学校は、やっぱり先生の誰もが『勉強しろ』って言う。

高校二年の夏休みといえば、受験勉強を始める時期だ。

…けどそれが本当にできるのは、今のうちから進路について明確な目標がある人くらいだと、思う。


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